イングランド北東部はかつて産業都市が多く発展した地域で、今は学園都市などに変貌しています。
ここで言うイングランド北東部は、イングランドを9つに分けたリージョンのうち、ヨークシャー・アンド・ハンバー(Yorkshire and Humber)と、ノース・イースト(North East)の2つを合わせた地域です。イングランドの中では北部ですが、ブリテン島の中では真ん中あたりの東側一帯です。ロンドンから中途半端に遠く、スコットランドほど異質でもないので、点在するいくつかの見どころはありますが、一般的に言えば、留学先としては目が向きにくい地域でしょう。
イングランド中部同様、産業革命以来のイギリス経済を支えた力持ちの産業都市が点在している一方で、古き良きイングランドの面影も多く残る地域です。人口の大きな二大都市は、リーズとニューキャッスルで、ブラッドフォードやシェフィールドが続きますが、語学学校が一番多いのは、ヨークです。
イングランド北東部は、産業革命との関係が比較的深い地域です。つまり、18〜19世紀のイギリスの産業革命は、とりわけ羊毛産業が盛んなヨークシャーなどで、繊維製品の加工工程を機械化するといった効果をもたらすなど、その時代の人々の生活と労働を大きく変えました。それが重厚長大産業の発展にも至り、リーズやニューキャッスルなどが重工業都市として大きく発展しました。世界初の鉄道が開通したのもこの地域です。それは第二次大戦後も1980年代まで続きました。産業都市は、そういった時代を通じて多くの移民労働者を受け入れました。しかしその後の重厚長大産業の衰退、それに伴う失業率の増加や治安の悪化といった社会問題も、そういう地域ほど大きかったわけです。それが、20世紀の終わりぐらいから学園都市や軽工業、サービス業、IT産業への転換などで好転し、今もその過程にあるというのが、過去、重工業都市と呼ばれた多くの都市の現況です。
他方、歴史が古くて知名度もあり、交通の要衝にも位置するヨークが、人口ではあまり上位に来ない理由は、町自体に重工業が発展せず、移民を大々的に受け入れなかったからです。そのヨークは一昔前のイングランドの面影が良く残り、イギリス人自身が古き良きイングランドらしさを求めて国内旅行で訪れる街として人気があります。こういう街は、語学学校が比較的栄えやすく、対照的にリーズなど産業都市の面影が濃い街は、大学正規留学はともかく、語学留学先としてはあまり人気が出ません。ただ、ここから先は人それぞれ。リーズにせよニューキャッスルにせよ、大都市だから物価や授業料が高いかというと、そんなことはありませんし、そういう都市は日本人に注目を浴びにくい分、日本人比率も低い学校が多いです。
イギリス留学サイト(ryugaku-uk.com)掲載の語学学校:
・インターナショナル・ハウス・ニューキャッスル International House Newcastle
正式には、ニューキャッスル・アポン・タイン(Newcastle-upon-Tyne)。ニューキャッスルという名前の町はイギリスだけでも他にもいくつかあり、英語圏の他の国にもあるので、この都市を確実に指すならば、正式名で言う必要があります。しかし一般には、ニューキャッスルと言えばまずここを指すというほどに、著名な都市で、北部イングランドを代表する主要都市の一つです。
ニューキャッスルもかつては重工業都市・産業都市としての機能が強く、今もその名残はありますが、重厚長大産業の多くが廃れた後には、学園都市としての機能が相対的に高まってきました。また、中世以後の産業遺産や歴史的な建物も多く、タイン川の谷に沿って開けた風景の良さもあって、観光客も多く訪れます。イングランドの中では相対的に物価や生活費も安く、周辺部は自然美豊かです。
ロンドンから遠そうに見えますが、東海岸を行く鉄道の主要幹線は高速化されているので、ロンドン日帰りも可能で、スコットランドにも近いなど、交通の便も悪くありません。緯度が高い分、冬の日の短さと寒さは多少ありますが、東海岸なので降水量は割と少なく、西側の都市に比べて、カラリとした日がやや多いです。
ニューキャッスル都市圏は、特に東側の海方向に広がっています。日産の自動車工場があることで知られる隣町のサンダーランド(Sunderland)は独立した市ですが、広域的にはニューキャッスルを含むタインサイド都市圏に属します。
イギリス留学サイト(ryugaku-uk.com)掲載の語学学校:
・ブリティッシュ・スタディー・センター・ヨーク British Study Centre York
・イングリッシュ・イン・ヨーク English in York
ヨークは都市としては人口20万弱と、さほどの規模ではありませんが、イングランドを代表する古都の一つであり、交通の要衝としても発展してきた街です。
ヨーク自体は、古くから現代にいたるまで、重工業が発展したことがないので、移民の流入も少なく、色々な意味で古き良きイングランドの面影が良く残った街だと言われます。そのため、イギリス人が古き良き時代の自国の面影を求めて訪れる観光都市になっています。
交通面では鉄道が便利な街で、ロンドンとエディンバラを結ぶ、高速化された東海岸本線のちょうど中間地点に当たります。そのため、ほとんどの特急が停車しますので、距離の割には短時間でロンドンやエディンバラへ出かけられるのが利点です。そういう鉄道の要衝らしく、英国最大の鉄道博物館が駅のすぐ横にあって、日本の初代新幹線の車輌も保存されていることは良く知られています。
かつての街壁に囲まれた中心部は、細い路地が多く、その両側にイングランドらしさ溢れる可愛いお店や建物が並んでおり、それだけでも絵になる町です。さほど大きな街ではないので、語学学校やショッピング街などは中心部にコンパクトにまとまっていますが、住宅地が全て徒歩圏というほどは小さくありません。市内交通はバスのみで、場所によっては終バスが早かったり日曜の便が悪いという難点はあるようです。こういった点は、人口の多い産業都市に比べて弱い部分です。
あまり詳しくない人でも、ヨークシャーという名前からは羊毛が連想されるのではないでしょうか。そのウェスト・ヨークシャーの中心であり、北東部最大の都市が、ここリーズです。後背地を広大な牧草地に囲まれ、まさにヨークシャー名産の羊毛の集散地として栄え、産業革命後は重工業都市としても大いに発展してきました。今もその面影を残す大都市であり、重厚長大産業が主役でなくなった今の時代は、IT系や金融系が強く、また学園都市としても発展しています。他方、市内や近隣の住民にとっては、ショッピングタウンの位置づけで、人口比以上にあらゆるお店が狭い中心部に固まっている街として認知されています。
ただ、都市としての規模が大きい割には、語学学校数は多くありません。大学生は多いものの、一般的には語学留学の都市としてあまり候補に上がらない街です。
リーズと合わせて一つの広域都市圏を形成していますが、単独の自治体としても、英国きっての大都市の一つです。古くから産業都市、移民都市として知られ、治安も含めてあまり評判がいいとは言えませんが、そういった大都市ならではの歴史や文化に興味を持てば、これまた一度行かずにはいられない街とも言えるでしょう。昔から南アジア系移民が際立って多く、一時期は彼らが差別に抗議してしばしば暴動を起こしたことから、悪いイメージが現実以上に先行してしまいました。しかし、彼らが築いた文化が成熟し、産業関連や写真などの博物館がいくつかあります。大都市ゆえ、学生も多いものの、語学学校はほとんどありません。ショッピングセンターなどは充実しています。
シェフィールドはヨークシャーの南はずれ、イングランド中部との境に近い比較的大きな都市です。イングランドでは比較的珍しい、丘と谷がある起伏の激しい都市です。産業革命以来、鉄鋼産業を中心とした重工業で大いに栄えましたが、1980年代にそれが廃れるのに伴い、かなり荒廃したそうです。その後、再開発で蘇り、今なお再発展の途上。街を歩けば新しいビルが林立しており、近代都市の印象を受けることも多いです。しかし実際には古い都市なので、大聖堂など歴史的建物もあり、工業都市ならではの古びた垢ぬけない風景も混在しています。重工業としての鉄鋼業は廃れましたが、その頃からの伝統であるナイフとフォークの生産が今も盛んです。
経済も比較的好調で、学園都市としても名高く、とりわけシェフィールド大学は理系のノーベル賞受賞者を何人も出している名門です。正規留学生が多いので、町を歩くと中国系やアラブ系の若者も目立ちますが、語学留学先としてはあまり脚光を浴びておらず、今のところ、大学付属の進学用英語コースがあるぐらいです。
イギリス留学サイト(ryugaku-uk.com)掲載の語学学校:
・アングロラング・アカデミー・オヴ・イングリッシュ Anglolang Academy of English
スカーブラは、日本での知名度は低いですが、イングランド人の間では、歴史も長くメジャーな、ビーチのある保養都市として広く知られています。とりわけリーズやヨークなど、イングランド北部の内陸都市の住人が、夏の天気のいい時に日帰りでちょっと近場の海に行こう、となれば、まず一番にここの名前があがる、という町です。
人口は7万弱で、大きくはありませんが、市としての商業の集積もあります。観光だけの町は物価が高いこともありますが、スカーブラはその心配もありません。俗化されずに長年やってきた老舗海浜リゾートと言っていいかと思います。ブライトンのような華やかさはありませんし、北にある分、日本人が泳ぐのには夏でも少々涼しすぎるとは思いますが、留学先としては一味違うマイナーさ、そしてイギリス人にとってやや高級感がありながらも庶民の手に届くレベルの保養地での生活体験、そして学校でも町でもおそらく日本人をほとんど見かけないという生活。そういう点で、ここは穴場です。
こういう都市なので、大都市の学校以上に、夏と冬とでの学生数が大きく異なります。閑散期に行って思いっきり少人数で落ち着いて勉強するのを期待するか、夏のピークにヨーロッパ人に混じっての老舗リゾートで北国の短い夏を堪能するか、どちらにもその良さがあるでしょう。難点は旅行のしづらさで、幹線鉄道沿いのヨークなどに比べると、ロンドンや各地への旅行や、格安航空を使っての海外旅行は、やはりだいぶ不便というか、時間がかかってしまうのは致し方ないことです。
日本語のガイドブック等には、スカーボロないしスカボロなどと書いてあるものも少なくありませんが、イギリス英語の現地音はスカーブラです。ただ、アメリカ英語ではスカーボロと読めるため、実際、アメリカ人などはそう発音してしまうそうです。ですのでスカーボロも間違いとは言い切れません。
ニューキャッスルの南にあるダラム(Durham)は、ダラム州都ながら小さな町ですが、世界遺産指定の大聖堂などがあり、北東部ではヨークと並ぶ歴史観光都市になっています。
スカーブラの南の海岸沿いには、キングストン・アポン・ハル(Kingston upon Hull)という、意外と大きな港湾都市があります。
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